障害年金とは?
「障害年金」という制度をご存知ですか?
障害年金は、病気やケガによって日常生活や就労に支障をきたしている方に対して、国が支給する公的年金です。対象となるのは原則20歳〜64歳で、初診日(最初に病院を受診した日)が65歳未満であることが必要です。
障害年金には以下の2種類があります:
- 障害基礎年金(1級・2級)
→ 国民年金加入者(自営業・フリーランスなど)対象 - 障害厚生年金(1級・2級・3級)
→ 厚生年金加入者(会社員・公務員など)対象
【※】会社員の場合は、厚生年金+基礎年金の両方を受給できます。
支給額は、障害の等級・加入していた年金の種類・家族構成(配偶者・子どもがいるか)によって異なります。
申請はやや複雑なので、年金事務所や社労士に相談するのがオススメです。
ちなみに、会社員であれば、ケガや病気から**1年6カ月の間は「傷病手当金」**などが支給される場合があります。
発達障害の障害認定基準
発達障害とは、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの、先天的な脳機能の特性により、日常生活に困難を生じる状態をいいます。
たとえ知的能力に問題がなくても、「社会的コミュニケーション」「対人関係」「臨機応変な対応」などに困難があるため、生活や仕事に影響が出ることがあります。
【※】こうした発達障害については、2016年に厚生労働省より「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が公表され、地域差を減らすための認定基準が明確化されました。
等級の目安(ガイドラインに基づく例)
- 1級:他人の援助がなければ、ほとんど日常生活を送れない
- 2級:他人の援助なしでも生活はできるが、働くことはできない
- 3級:日常生活は自立できるが、就労に著しい制限がある(厚生年金加入者のみ)
障害年金の受給条件 〜ざっくり3ステップ〜
① 初診日を証明できること
「初診日」は障害年金でとても重要なキーワード。障害の原因となる病気・障害で、初めて病院を受診した日を指します。
この日を証明するためには、以下の書類が必要になります:
- 受診状況等証明書(初診の病院に記入してもらう)
- 病歴・就労状況等申立書(自分で作成、時系列で記入)
【※】発達障害で知的障害を伴わない場合、医療機関にかかった「20歳以降の初診日」が対象です。
② 保険料の納付要件を満たしていること
初診日までに、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります:
A. 原則要件(3分の2以上)
- 初診日のある月の2か月前までの被保険者期間において、
保険料の納付済期間+免除期間が3分の2以上あること。
B. 特例要件(直近1年)
- 初診日が令和8年4月1日以前であること
- 初診日に65歳未満であること
- 初診日の2か月前までの直近1年間に未納がないこと
どちらかを満たしていればOKです。
③ 障害認定日に障害状態であること
障害認定日は以下のいずれかです:
- 原則:初診日から1年6カ月経過した日
- 例外:1年6カ月経過前に「症状固定」した場合は、その日が認定日
※「症状固定」とは、これ以上の治療で改善が見込めないと診断された状態をいいます。
受給額の目安
障害年金の額は年々変動しますが、おおよその目安は以下のとおりです(2025年4月改定後基準)。
- 障害基礎年金(単身)
- 1級:約102万円/年(+子の加算あり)
- 2級:約81万円/年
- 障害厚生年金(報酬比例)
- 1級:報酬比例年金額 × 1.25 +配偶者加算
- 2級:報酬比例年金額 +配偶者加算
- 3級:報酬比例年金額(最低保障あり:約60万円程度)
【※】具体的な金額は、年金加入期間や収入状況に応じて異なるため、年金事務所での試算が推奨されます。

受給に必要なもの(申請書類)
以下の書類が基本的に必要です:
- 年金手帳 or 基礎年金番号通知書
- 戸籍謄本 or 住民票
- 医師の診断書(様式第120号など、所定の用紙を使用)
- 受診状況等証明書(初診日証明)
- 病歴・就労状況等申立書
- 本人名義の通帳(金融機関名義確認用)
※提出書類は、ケースによって異なる場合があるため、事前に年金事務所で確認を。
Q:障害者手帳を持っていないと申請できない?
A:いいえ、手帳の有無は関係ありません!
障害年金の申請において、障害者手帳は提出不要です。あっても参考資料程度で、審査は医師の診断書と病歴・生活状況が中心になります。
Q:民間の就業不能保険って必要?
発達障害など、精神疾患で障害年金を受給する場合、民間の就業不能保険はカバー対象外であることが多いです。
【理由】
- 精神疾患を保障外にしている保険商品が多い
- 保証期間が限定的(長期保障ではない)
このため、「将来が不安だから」といって保険を検討している方は、まずは障害年金や公的制度を活用できるかを確認しましょう。
まとめ:障害年金の仕組みを知って、早めに対策を!
障害年金は、
- 誰でも請求できる
- 制度を知っているかどうかで差が出る
- 書類や証明が多く、準備に時間がかかる
制度をうまく活用することで、生活の安心感がまったく違ってきます。
まずは「初診日はいつだった?」「保険料はきちんと納めてた?」の確認からスタートしてみましょう!